1.建設業許可とは

建設工事の完成を請負うことをいいます(元請、下請を問いません)。建設業を営むには、建設業許可が必要です。ただし、「軽微な工事」のみを請負う場合は、建設業許可は不要となります。なお、建設業の種類には2種の一式工事及び27種の専門工事のあわせて29業種があげられます。

2.軽微な工事とは?

建築一式工事の場合

工事1件の請負代金が1,500万円未満の工事、または延べ面積が150平米未満の木造住宅の工事のことを言います。

建築一式工事以外の場合

工事1件の請負代金が500万円未満の工事のことをいいます。

★ワンポイントチェック
上記の金額には消費税を含みます。
税抜金額で上記金額と近い金額で交渉、契約をする場合には注意が必要です。

3.建設業許可の29業種

下記のうち、建設工事業及び土木工事業は「一式工事」、その他の27業種を「専門工事」と呼びます。

土木工事業 ガラス工事業
建設工事業 塗装工事業
大工工事業 防水工事業
左官工事業 内装仕上工事業
とび・土工工事業 機械器具設置工事業
石工事業 熱絶縁工事業
屋根工事業 電気通信工事業
電気工事業 造園工事業
管工事業 さく井工事業
タイル・れんが・ブロック工事業 建具工事業
鋼構造物工事業 水道施設工事業
鉄筋工事業 消防施設工事業
舗装工事業 清掃施設工事業
しゅんせつ工事業 解体工事業
板金工事業

4.知事許可か大臣許可か?

建設業の許可は都道府県知事または国土交通大臣のどちらかが行います。この区分は営業所の所在地によってなされます。

知事免許

1つの都道府県の区域内にのみ営業所を儲ける場合の許可です。(1つの都道府県の区域内に2つ以上の営業所を儲ける場合も含まれます。)

大臣許可

2つ以上の都道府県の区域内に営業所を設ける場合の許可です。例えば大阪に本店を置いて、名古屋に支店を設けるような場合です。

5.一般か特定か?

建設業の許可はその業種によって一般建設業と特定建設業の2つに区分され、どちらかの許可を受けなければなりません。

>一般建設業許可

建設工事を下請に出さない場合(自社で工事の全てを施工)や、下請に出した場合でも1件の工事代金が4,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)未満の場合に必要な許可です。

特定建設業許可

発注者から直接請負う1件の工事について、下請代金の額が4,500万円(建築一式工事は7,000万円)以上となる建設工事を施工する際に必要となる許可です。

★ワンポイントチェック
①上記金額には、消費税を含みます。税抜金額で上記金額で交渉、契約をする場合には注意しましょう。
②元請でない限り、下請契約金額が4,500万円(建築一式工事は7,000万円)以上であっても特定許可は必要ありません。
③同一業種で一般、特定の両方の許可を受けることができません。

建設業許可を受けるための要件

下記の5つの要件を満たしていないと建設業許可を受けることができません。

  1. 経営業務の管理責任者がいること
  2. 専任技術者が営業所ごとにいること
  3. 請負契約に関して誠実性があること
  4. 財産的基礎または金銭的信用があること
  5. 欠格要件に該当しないこと

【要件1】経営業務の管理責任者がいること

経営業務の管理責任者とは、法人の場合は常勤の役員、個人の場合は事業主本人や支配人のことをいい、下記の①〜③あるいは④〜⑤のいずれの要件に該当することが必要となります。

【単独で経営業務管理責任者を配置する類型】
①建設業で5年以上の役員(常勤)経験
②建設業で5年以上、役員等に準ずる地位(権限を与えられた執行役員等)
③建設業で6年以上、経営業務管理責任者を補佐した経験(役員等に準ずるポジションにて)

【複数人で経営体制を配置する類型】
④建設業で役員経験2年+役員経験合わせて5年の管理職経験(財務・労務・業務管理)
⑤建設業で役員経験2年+異業種での役員経験3年

★ワンポイントチェック
次の【要件2】で説明する専任技術者との兼任は可能ですが、異なる事業体での兼任は不可となります。

【要件2】専任技術者が営業所ごとにいること

専任技術者とはその業務について専門的な知識や経験を持つもので、営業所にその業務に従事する(専属となる)者のことをいい、一般建設業許可と特定建設業許可で要件が異なります。

一般建設業許可

下記の1〜3いずれかの要件に該当することが必要となります。

  1. 許可を受けようとしている業種に関して、関連する資格を有している。
  2. 学歴・資格の有無を問わず、許可を受けようとする業種に10年以上の実務経験がある。
  3. 指定学科卒業後、大学卒では3年以上、高校卒では5年以上の実務経験がある。
特定建設業許許可

下記の1〜4いずれかの要件に該当することが必要となります。

  1. 許可を受けようとしている業種に関して、関連する資格を有している。
  2. 一般建設業許可の専任技術者に該当し、且つ元請けとして4,500万円以上の工事について2年以上の指導監督的な実務経験がある。
  3. 国土交通大臣が1・2に挙げる者と同等以上の能力を有すると認めた者
  4. 指定建設業の7業種については1または3に該当する者

★ワンポイントチェック
①同一営業所内において2業種以上の専任技術者を兼ねることはできますが、他の営業所の専任技術者と兼ねることはできません。
②建築士や宅地建物取引士等、特定の事務所において専任を要するものと兼ねることはできません。
③他に個人営業を行なっている、他の法人の常勤役員である等、他の営業において専任に近い状態にないことが必要です。

【要件3】請負契約に関して誠実性があること

法人の場合はその法人、役員、営業所長、個人の場合はその個人事業主または支配人が下記の内容にあたる場合は誠実性のない者として扱われ、建設業許可を受けることができません。

  • 建設業法、宅地建物取引業等の規定で免許の取り消し処分を受け5年を経過していない。
  • 暴力団構成員、暴力団の実質的な支配を受けているとされる場合。

【要件4】財産的基礎または金銭的信用があること

一般建設業許可と特定建設業許可で要件が異なります。

一般建設業許可

下記の1〜3いずれかの要件に該当することが必要です。

  1. 直前の決算において、自己資本の額(貸借対照表における純資産合計の額)が500万円以上であること。
  2. 預金残高証明書等で、500万円以上の資金調達力を証明できること。
  3. 許可申請直前の過去5年間について許可を受けて継続して営業した実績を有すること

★ワンポイントチェック
預金残高証明は、申請日より4週間以内(1カ月以内ではない)のものが必要です。

特定建設業許可

下記の1〜4の全ての要件に該当することが必要になります。

  1. 欠損の額が資本金の20%を超えていないこと。
  2. 流動比率が75%以上であること。
  3. 資本金が2,000万円以上あること。
  4. 純資産の額が4,000万円以上あること。

★ワンポイントチェック
①上記の要件は、いずれかではなく、「全て」の要件に該当することが必要です。
②上記の要件は、新規許可取得の際のみでなく、「更新毎」に該当することが必要となります。
③新規法人設立の場合は、資本金が4,000万円以上必要となります。

【要件5】欠格要件に該当しないこと

法人においてはその法人の役員、個人にあっては事業主本人、支配人、営業所長等が下記のいずれかの要件に該当する場合は、建設業許可を受けることができません。

  • 許可申請書または添付書類の中の重要事項について虚偽の記載があり、または重要な事実の記載が抜けている。
  • 成年被後見人、被保佐人または破産者で復権を得ていない。
  • 不正の手段により許可を受けたこと等により、その許可を取り消され、その取り消しの日から5年を経過していない。
  • 許可を取り消されるのを避けるため廃業の届出をし、その届出の日から5年を経過していない。
  • 請負契約に関し不誠実な行為をしたことにより営業停止を命じられ、その停止期間が経過していない。
  • 禁固以上の刑に処され、その刑の執行を終わり、またはその刑の執行を受けなくなった日から5年を経過していない。
  • 建設業法や刑法等、一定の法律に違反して罰金刑に処せられ、その刑の執行を受けなくなった日から5年を経過していない。
  • 未成年が役員等になっている場合、その法定代理人が上記要件にあてはまる。
  • 暴力団や暴力団員でなくなった日から5年を経過していない。
  • 暴力団員に事業活動を支配されている。